2017年09月25日

質問についてのお答えと正誤表の更新など

本書を会社経費で購入して頂いた方からサポートファイルの扱いについて質問を受けました.
まず,紙の書籍は回し読みしても著作権を侵害しません.また,個人的利用に限っては断りなく複製することも可能です.その一方でソフトウェアであるMCDAアドインは一般的なソフトウェア利用規約に従って頂くことになります.MCDAアドインは本書1冊につき一本のライセンスが認められているダウンロードバンドルの形態となっています.SAS社との取り決めで,アドインは書籍購入者限定配布とし,その複製及び譲渡は不可になっているので,原則として(書籍と異なり)同じ部門内であっても使い回すことはできません.サポートファイルは一般的なソフトではありませんが,jslファイルやほとんどのファイルに付随しているスクリプトというソフト的な著作物を含むので関係者と協議した結果,アドインと同じ扱いにしました.以下にサポートファイルの利用規約を再掲します.

サポートファイルの利用規約(ダウンロードに際しての注意)

ファイルのダウンロードは本書購入者に限定させていただく取り決めとなっていますことをご了承ください.会社等で購入された場合でも,代表者1名のみがファイルをダウンロードできます.ダウンロードしたファイルは配布不可ですけれども,代表者のPCの画面をプロジェクターで映したり,(画面を)共有したりして複数人で一緒に議論しながら実習していただくことは可能です.

ここで「会社等で購入した場合は代表者1名のみ」ということの意味ですが,書籍1冊につき任意の読者1名(おそらく最初に読む人)と読み替えてください.著者とはいえ私の思うようにはできないことも多々あり,ご理解いただけましたら幸いです.

ついでで恐縮ですが,正誤表を下記に更新します.(1-3は既報分です.)
1.p11の下のエクセルデータで,左のデータの右側が50代になっていますが30代の間違いです.単純なタイプミスのチェクもれです.話の内容には大きな影響はありませんが,訂正します.
2.p85の2行目のJMPくんの台詞で,「表示形式」のところで「データ点はオフ」を選択するとデータ点が見えるよ...とあるのはもちろん「データ点が消えるよ」の間違いです.デフォルトではテータ点が見えるようになっているので,理解する上では大きな問題はないと思います.
3.対応済みなので削除.
4.p65のJMPくんの台詞で「降水量をY軸に,平均気温をX軸に...」ではXとYとが逆ですね.
5.p125の脚注のBinormalはBinomial(二項分布)のタイポです.
6.p140ページの統子ちゃんの台詞でRSMEとあるのはRMSE(Root-mean-square-error)のタイポです.

以上お詫び申し上げ,訂正させていただきます.

2017年09月23日

あての話

Amazonで万年筆のインクを物色していて,いつもは見ないことにしている「統計的問題解決入門」のページにふと目がいったところ「なか見!検索」が実装されたようですね.「はじめに」を含んだ最初の15ページだけですが,雰囲気だけでも伝わればありがたいです.とは言っても,ここだけ見るとJMPマニュアル本のように見えてしまうかもしれません.本書の第3講以降では徐々にJMPを問題解決に使うことに主題を移していくので,マニュアル本のつもりで購入された方は当てが外れるかもしれません.そうだとしたら申し訳ないです.
「当てが外れる」で思い出したので無駄話を一つ.本当はそろそろ本書の補足などを書いていこうとも考えたのですが,来月開催予定のJMPer’s Meetingでお話しすることと重複してもどうかと思い,このブログではしばらく雑記を書くことにしておきます.会場を広くして定員を増やせる可能性もあるとかで,上記のセミナーはまだ申し込み可能なようです.よろしければどうぞお越しください.
さて,当てが外れた話です.私は木工を趣味としています.赴任先の米国では男10人集めればそのうち3人は木工(Wood Working)をやっているというくらい普及していて,TVや雑誌でも盛んにWood Workingの情報を流していました.木工道具の専門店なども近所にあり,同僚のアメリカ人に勧められたこともあって一時はかなり凝りました.自宅に地下室があったので,テーブルソーやバンドソーなの大型機材を買い込み,本棚やテーブルなどを製作していました.家具作りともなると大きい板が必要なので,製材所に行ってWalnutなどの気に入った木材を見て回ります.その際に注目するのが木目の性質や変形具合です.特に反った木材は要注意です.日本では一般に反った木材をアテ材と言いますが,これは厳密には正しくありません.
陽疾と書いて「あて」と読む言葉があります.太陽に疾る(はしる)と言うことを意味していると推測しますが,何が疾るのかというとそれは樹木です.太陽を目指して樹木は成長します.特に山の斜面では南を目指して斜めに伸びていくことになります.こうした樹木は重力に対抗するために成長の過程で主幹が変形し,内部に応力が蓄積されます.樹木のこのような部分を陽疾と言うのです.単に反りが大きい木材をアテ材というのではありません.というのも,アテ材は(単に)反っている木材に比べて少々性質が異なっているからです.厳密には陽疾が原因で現在(あるいは今後それ以上に)反っている(いく)木材のみをアテ材といいます.
陽疾に蓄積された応力が製材の乾燥工程でリリースされると,その木材は反りやすいのです.一般住宅用の木材は炉に入れて人工乾燥(Kilin Dry)させることがほとんどですが,人工乾燥では乾燥の過程で樹種によっては木材にダメージが入りやすいので,いまだに天然乾燥(Air Dry)も実施されています.この状況では家を建てた後に,徐々にそれらの木材が反っていくという困ったことになります.
このため,昔は上棟してしばらく放置して,壁塗りをする前に補修可能する工程を設けていたそうです.スループットを犠牲にしてノイズ対策の工程を追加したといったところでしょうか.もう一つ,昔の大工の棟梁は家(と言っても大きな家でしょうけど)を普請する際にしていたというロバスト化があります.もう一つ,昔(と言っても相当昔でしょうけど)棟梁は自ら山に行って木を下見に行き,自然環境でどのように育っているかを観察し,どの木材をどこに使うかを決めていたと聞きます.樹木を伐採,製材する前に陽疾の具合を観察して,それぞれが乾燥していく過程で今後どのように反っていくのかを予測しておくわけです.腕のいい大工はその予測に基づいて(反りの具合いを見込んで)家を建てました.これがうまく予測通りになってくれると,家の(接合部の)強度が増していきます.なんとも素晴らしい匠の技ですが,たまにこの見込みと異なる反り方をしてしまう木材が出てきます.こういう状況をアテが外れるといったのです.
このような匠の技は現代では失われつつあります.反りの出にくい(陽疾のない)樹木を育てる工夫はもちろんですが,集成材などを使用することでそもそも反りのない木材を使ったり,ジョイントに金具を使うことで反りを強力に補正したりして,反りを予測するという必要がなくなってきているからです.私が大工だったらつまらない時代になったと嘆いているでしょう.予測するというのは人間にとって必須の能力であるとともに一種の麻薬のようなものです.アテが外れるということにはギャンブル(射幸心)とも密接な関係があるので,それは人間にとって必要悪であるのかもしれません.
統計的問題解決は統計モデルによる予測をベースにしていますが,それを面白いと感じるのはその予測が当たった(あるいは外れた)ということを目の当たりにできるからです.匠の技のようなKKDの技術を後世に残すことも統計的問題解決の一つの重要な役目ですが,予測という点で両者に接点があるようです.職人技をモデル化して後世に継承することには近いうちに挑戦してみたいと考えています.
今週も雑談ですいませんでしたが,それではまた.
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2017年09月16日

DOEは斜めから学べ

誰か訪れる人がいるのだろうかと思って始めたこのブログですが,オーム社からサポートファイルをダウンロードされた方もいらっしゃるようで,少なくとも書籍を読んでくださった人がURLを拾いに来てくださっているようです.ご面倒をおかけいたしまして申し訳ございませんが,本当にありがたいことです.書籍にアドレスを直接書かなかったのは変更等に柔軟に対応できるからです.実際に,当初はGoogle Driveに置く予定にしていましたけれど,会社からではアクセスできないケースもあったりしたので,急遽オーム社に置き場所を作ってもらいました.
URLを拾うついでにそれ以外のブログ記事を読まれる方もいらっしゃかもしれませんので,過去の記事も読み返してみました.今まで誰の目にも触れることはないだろうと気楽に書いていたのですが,色々と訂正したいこともあります.明らかな間違いは既に修正しておきました.例えば,「JMPの提示する最適実験数で実験すると誤差の自由度は0になってしまいます.」というのはもちろん,「JMPの提示する最小実験数で実験すると誤差の自由度は0になってしまいます.」の書き間違いです.
他にも誤解を招くような記事もありました,池上彰,佐藤優(2016)『僕らが毎日やっている最強の読み方』東洋経済新報社を紹介した記事では批判めいたことを書いていますが,幾つかの学びを得たという点では読んでよかった本です.例えば,池上さんが,情報をくれるのは斜めの人間関係であると言われているのは全く同じ思いです.NHKに新米記者の頃,その世界でのいろいろな情報を教えてくれたのはNHKの先輩ではなく,読売新聞など他社の先輩たちだったということです.後輩とはいえ同じ会社に属していればそれには競争があるからです.もちろん,他社との間にも競争はありますが,成果として「特ダネ」という非常にわかりやすい指標がある会社では,後輩をライバルとして意識せざるを得ないという気持ちはわかります.
少なくとも専門分野に限っては,技術者の世界ではコンプライアンス遵守の観点から斜めの人間関係は築きにくいものです.いわゆる独占禁止法では競合他社との情報交換は第三条(事業者は,私的独占又は不当な取引制限をしてはならない.)に抵触する状況証拠と見做されるおそれがあるからです.かといって,縦の人間関係においても池上さんの場合のような状況があります.自分の経験からは後輩をライバルと思ったことはありませんが,それは仕事が細分化しすぎていて張り合うことがなかったからでしょう.とはいえ,後輩に何かを積極的に教えるという意識は希薄であったことも正直なところです.今でこそ人に教えることを生業の一部としていますが,当時は自分の分野の勉強に精一杯で,とても後輩の面倒を見ている余裕はありませんでした.こと専門分野に限っては,技術者の教育的な情報交流には縦も斜めも障害があるのです.
一方,統計学やデータ処理それにDOEといった(どの分野にでも有効という意味で)一般的な知識においても,(後輩に教えるという)縦の情報の流れに障害になっていることがあります.それは上司の存在です.人は自分が教えられたように教えることを好みます.こと教育については保守的であるものです.聞いた話なので,どこの会社とは言いませんが,ある技術者が後輩に実験計画を教えたところ,その後輩は上司に「そんなことで遊ぶな」と叱責されたそうです.KKDタイプの技術者を上司に持つと部下はDOEもままならないのです.
ところが,これが社外の人間に教えられたことであれば,異文化として受け入れてもらいやすいのです.DOEは受け入れられない上司であっても,それが舶来のものであればありがたがるというのは,さすがに新しいものには興味があるという技術者魂は備わっているからでしょうか.これが日本特有なことなのかはわかりませんが,いずれにせよ,日本ではDOEを学ぶには斜めからが容易なようですとはいえ,一般分野といえども斜めの人間関係を築くのは今のご時世では難しい面があります.他に探すとすれば,斜めから学ぶ機会としては学会がその一つの手段ですね.代表的なところではJSQC(日本品質管理学会)がありますが,なぜか土曜日に開催されるので通常の会社員には参加しにくいし,正直申しまして産業分野の技術者の参考になる発表は少ないと思います.先にお知らせしましたDiscovery Summitが斜めから学べる場になるようにしていけたらと思っています,

それではまた.
タグ:統計学 books
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2017年09月09日

Discovery Summit Japan 2017 のご案内

今年もJMPユーザーコンファレンスのDiscovery Summit 2017が開催されます.私はこのイベントのコミッティメンバーとして,発表をチェックする側なので,本来は自ら発表すべきではないのですが,今年は「JMPではじめる統計的問題解決」の紹介を兼ねて景気付けにポスター発表を予定していました.ところが,海外からの発表者の都合がつかなくなり,その穴埋めとして急遽口頭発表もすることになりました.ポスターと同じ内容を口頭発表しても良かったのですが,せっかくなので全く異なったお話をすることを考えています.
Discovery Summitは米国をはじめヨーロッパと日本で毎年開催されていますが,去年?から中国でも開催されています.中国でのイベント規模は日本よりは大きいと聞いています.参加者は日本の倍くらいだとか.米国では数日間に渡る大きなイベントで,数多くのセッションが聴講できますが,なかなかそのために米国出張も今のご時世では難しいでしょう.SAS社のサイトにはセッションの様子を収めたビデオなども聴講できます.
日本では2014年から毎年のイベントとなりました.実は私はこの年の日本人講演者の一人でした.米国からはあのJMP生みの親John Sallさんと決定的スクリーニング計画の開発者のBradley Jonesさんのお二人でしたので,とても緊張したのを覚えています.この年は招待講演者の発表のみでしたが,その翌年度からは一般参加を募ることになりました.
Discovery Summit Japanへの参加は費用がかかりますが,それを無料にしてもらえる方法があります.それは口頭発表にエントリーすることです.(ポスターは半額になります.)学会発表ではないので,コミッティーの方針としても(より良い発表にするためにコメントすることはあるかもしれませんが)よほどのことがない限りエントリーをお断りすることはありません.今年のエントリーは医療分野の発表が目立ちますが,産業分野からの発表はもっとあってもいいと思うので,是非来年はエントリーをご検討ください.産業分野ですと社外発表の審査もあるかもしれませんが,社外秘に触れずに一般的なJMP活用についてお話しいただく方がむしろこの場には相応しいと考えています.
どのような内容で発表すればいいのかわからないという方々のために,このようなものでも発表できるという見本を今回のSummitで発表する予定にしています.参加される方がいらっしゃいましたら,ポスターを出していますので声をかけていただけると嬉しいです.

Discovery Summit Japan 2017の詳細はこちらです.

開催日 : 2017年11月17日(金)
(1) 10:00〜18:00 講演、発表(受付開始 9:30)
(2) 18:10〜19:40 懇親会(事前申込制、追加費用不要)
(3) 9:00〜9:45 JMP First Timer's Session
オープニングにさきがけて,9:00からJMPをご存知でない方,ご利用経験のない・少ない方を対象にしたJMPの概要を紹介するセッションを実施します.
会場  : グランドハイアット東京(東京・六本木)
posted by Tad at 08:01| Comment(0) | TrackBack(0) | JMP

2017年09月07日

訂正のご報告

本書に幾つか間違いが見つかりましたので訂正いたします.校正段階では,自分以外にも多くの人にチェックして頂きました.それでも最終原稿を出版社に持って行く電車の中でミスを5つも見つけたくらいなので,何かしら間違いは残っているとは予期していましたが,やはりありました.申し訳ございません.

現時点で以下の訂正をします.
1.p11の下のエクセルデータで,左のデータの右側が50代になっていますが30代の間違いです.単純なタイプミスのチェクもれです.話の内容には大きな影響はありませんが,訂正します.
2.p85の2行目のJMPくんの台詞で,「表示形式」のところで「データ点はオフ」を選択するとデータ点が見えるよ...とあるのはもちろん「データ点が消えるよ」の間違いです.デフォルトではテータ点が見えるようになっているので,理解する上では大きな問題はないと思います.
3.本文には間違いはありませんが,p93の1行目に「5_概観結果.jmp」とあるファイル名がサポートファイルでは「外観検査結果.jmp」になっていました.全くの勘違いでファイル名を間違ってつけてしまいました.ファイルの中身には問題ありませんので,近日中にファイル名を修正しておきますが,既にダウンロードしてしまった方はこの点にお気をつけください.

今のところはクリティカルな間違いは見つかっていませんが,何か見つかった時点で報告しますので,時々このブログを覗いてみてください.また,何かしら問題を見つけて頂けたならばご一報下さるとありがたいです.