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2018年03月24日

システム構造図の意義

最近受けた質問に関連して,本日は本書P177で説明しているシステム構造図の二つの意義についてお話しします.一つはこの図を作成する過程でシステムを俯瞰することができることにあります.システムに関与するステークホルダーやそれらに蠢く変数を把握した結果を「わたしはここまで深くシステムを考察しています」と示すことにもなります.この目的であればフィッシュボーンチャートやマインドマップでも事足りますが,システム構造図は実験計画を意識した別の情報表現です.システム構造図をこのように描いてもいいのですが,別の描きかたのほうが重要です.
それは「わたしはシステムをこのように捉えています」という表明としての意義です.例えば,工場内の環境温度としてノイズ因子Nがあって,ある部品の接着剤による接合強度という特性Yに大きな影響があるとします.この場合,Nを設計因子として扱って最適解を得たとしても意味はありません.空調設備を導入するでもしない限り特定の温度の日だけ製造するなどということは考えられないからです.あくまでもロバスト設計の対象としてのノイズ因子ということですね.
この実験をやるならば,部材が大きい場合は特別にテストサンプルを作成して環境試験装置を導入する必要があります.この方法では実際の部品とテストサンプルとで接着工程の装置条件や強度の計測方法が異なる(そうならざるを得ない)場合には注意が必要です.苦労して実験計画を実施して最適化しても実際の製品ではその解が再現しなかったというのはよくある話です.このような事態を避けるため,あるいは環境試験装置のリソースがなければ,1年かけてその日の温度を計測して少しづつ進めていくという気の長い実験を強いられます.この方法でも,問題は結果を得るまでに要する時間だけでなく,温度意外に湿度などの他のノイズ因子が考えられる場合や,冷夏や暖冬といった自然現象の影響で思ったような実験ができないという問題があります.
このようにロバスト最適化には多大な実験リソースが要求されることは珍しくないので,これを避ける意味でロバスト化はひとまず置いて,先に接着剤の成分を乾燥時間を短くコストを下げるように最適化したいという状況も考えられます.ロバスト最適はもちろん重要ですが,品質工学の説くようにそれが第一義ではないように常々考えています.まず特性の最大化を達成すれば特性の変動にも強くはなる(スペックを満たすという意味で)わけですから.そうであれば,とりあえず因子Nは代表条件に設定して固定すればいいのです.(代表条件は複数あればベターで,この場合はそれらを多目的最適化することになります.)ノイズ因子は実験の場で固定できるわけですから,このとき因子Nはノイズ因子から固定因子となり,システム構造図では別の場所に置かれることになります.このようなシステムの写像を示すことがシステム構造図の本来の意義です.システムの捉え方は「わたしはこの問題をこの角度から見ています」ということにつながります.
特に事例報告において,報告する側と受ける側とでこの問題を見る角度が一致していることが重要です.お互いに分かりきったシステムであってもその意味するところが異なる場合はすれ違いが起きます.技術的コミュニケーションではこの状況は避けなければなりません.システム構造図では因子の置かれる配置が定まっているので,それぞれの因子をどのように捉えているのかが明確に伝わります.
余談ですが,学生時代に金田一春彦先生のお話を伺ったことがあって,今でも覚えている話を思い出しました.オリジナルの話の詳細はすっかり忘れてしまったので,甲さんと乙さんとの会話という形で新たに作ります.
甲:おやお久しぶり.最近は何をなさっているんです.
乙:最近は「のう」の研究に入れ込んでましてね.
甲:「のう」とは難しいことに取り組んでいらっしゃる.
乙:基本的に動きが少ないので情報をいかにとるかが難しいですね.
甲:どんな情報を集めるんです?
乙:最近は「のう」と夢との関係に注目しています.
甲:夢ですか,そういえば三島も書いてましたよね.
乙:はあ.(そんな名前の研究者いたかな...?)
甲:それでは,また.
乙:さようなら
という話で恙無く会話は終わったものの,お判りのように甲さんは「のう」を「能」と思い,乙さんは「脳」と思って話していたという落ちです.因みに三島由紀夫は能の『邯鄲』をもとにした作品を書いています.
P178のイラストのように同じシステムでも見方(角度)を変えれば,全く異なったシステムになります.同じ問題を共有している仲間だからこそ起きやすい間違いを避けるために,システム構造図を活用してください.
それではまた.
タグ:問題解決 Q&A
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2018年03月17日

JMP14

いよいよJMP14のリリースが正式にアナウンスされました.プレスリリースはこちらです.2018年3月22日(米国東部時間)より全世界同時に出荷開始とのことなので,もう来週ですね.おそらく,完全日本語版は半年遅れでJMP14.2?のリリースのタイミングになるでしょうけれど,通常使用には問題ない範囲で日本語化されていますので,それまで待たずにJMP14.0を試されるとよいと思います.グレードを検討するのアップであれば,おそらく今まで同様にトライアル版も準備されているのではないでしょうか.
2018年第1回のJMPer’s MeetingはJMP14の新機能紹介セミナーということで私も申し込みましたが,今確認したところ,既に満席でキャンセル待ちになっています.
参加できないかたのために,このブログでも新機能を紹介していきたいと思いますが,残念ながら統計的問題解決に関連する機能ではこれといったものはないように思います.とはいえ,いくつか注目している機能はあります.JMPにはearly adopter programという制度があって,実はわたしも,いわゆるβテスターとして昨年末からJMP14で統計的問題解決に関係する機能やMCDAアドインのテストなどを検証しています.業務ではJMP13を使わざるをえないので,なかなかJMP14に触れる時間がとれなかったのが残念ですが,それでも(まだリリース前なので詳細にはお話できませんが)バグを一つみつけて報告したりしています.
early adopter programのことは周知してはいけないのかと思っていましたが,User CommunityのJMPer CableにJason Brinkleyというearly adopter の方のコメントが掲載されていましたので,公開はされているようです.
このJMPer Cableというブログで紹介されているMultiple-file importがJMP14の売りの一つです.個人的には他の手段(例えばPysonとかを使って)で可能な処理はJMP側で持たなくてもよいと考えているので,正直言って「ああ,そうですか」くらいの感想ですが,使って見たらこれは便利と手放せなくなるかもしれません.聞くところによれば以前からリクエストはあったようです.
私がリクエストするならば,ところどころに顔を出すJMPのおせっかいを少なくとも何らかの手段でお断りさせてほしいです.おせっかいというのは,前回お話しした,除外したデータが検証データに勝手にアサインされてしまうという機能がその一つです.他にもいろいろありますが,例えば,統計的問題解決に関係するところでは実験計画でn水準の離散数値を因子とすると,n−1, n-2,..., 2乗の項が勝手に追加されます.しかも,「推定」が「可能な場合のみ」にされてしまっているのです.そうでもないと実験数が多くなって現実的ではありませんのでいたしかたありませんが.もちろん,n水準を設定するということはn-1乗の効果を想定しているんだよね,という親切心?からなのかもしれませんが,やめて欲しい仕様の一つです.とはいえ,このことからも離散数値を使う状況というのは特殊なものであることが理解できますね.
今後JMP14については折を見てこの場で紹介していきます.それでは今日はこれで.
タグ:問題解決 JMP
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2018年03月11日

アメリア・イアハート効果

昨日の続きです.パラメータ設計において「アメリア・イアハート効果」を関連付けるとすれば,多特性の最適解にはならなくても単特性の最適解にはなり得る解があって,それらの解にも価値があるということではないでしょうか.ちょっと事情があって英語環境からの説明になって申し訳ないのですが,このような解を求めるには,Profilerの赤三角から「Optimization and Desirability>Set Desirability」で「Response Goal」の設定ウィンドウを出して一番上のプルダウンから所望の特性以外のGoalを「None」にします.(すいません,日本語での表記はうろ覚えなので,英語のままにしています.)ここのインターフェイスが前からわかりにくいと思っているので少し説明します.
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この例でY1だけの最適化をしたい場合は残すとすると,『OK』でY1はスルーして→プルダウンからNoneを選択→『OK』→ プルダウンからNoneを選択→『OK』という手順となります.それから最適化を実行すればY1だけの最適解が得られることになります.
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多目的最適化でなければならないような事例であっても,それぞれの単特性の最適化を独立に実施してみてください.それは人と同じことをやらずに,狭くてもその世界での一番を見つけるようなものです.例えば,Y1単独の最適解の意味するところはY2,Y3の制約がなければそのシステムはY1に関する限りはそこまではいけるということです.そのシステムのY1についての可能性とも言えます.この情報を得た後に他の特性の制約を一つ一つ(すべての組み合わせで)解除していくことで,どの特性がY1の可能性を妨げているのかがわかります.いわゆるトレードオフの関係が把握しやすくなります.
とはいえ,それぞれの単特性の解は尖った解です.システムとして全体のバランスに欠けているのでそれらは安定した解ではなく,アインシュタインの言葉でいうところの幸せな解ではありません.幸せな解を見出すにはすべての特性を最適化に組み入れた多目的最適化によるべきであることは言うまでもありませんが,JMPのような計算機支援最適化ではこのとき注意があります.
それは品質工学でやるような二段階設計では真の最適解が得られない可能性があるということです.二段階設計とは具体的に言うと,Y1単独の最適解を踏まえて部分的に設計因子を固定し,その状態で別の特性の最適化を実施するという設計手法のことです.基本的にコンピュータによらず,SN比と感度という比較的単純な特性の最適化である品質工学においては,二段階設計は有効な手法なのかもしれませんが,私たちのようにもっと精度の高い(複雑な交互作用を扱う)統計モデルに基づく最適化では真の最適解にたどり着けないこともあり得ます.JMPによる多目的最適化では必ず,すべての設計因子をフリーにして同時に最適化するように心がけてください.
以上まとめますと,ステップ1として,多目的最適化では個々の特性を単独で最適化すること.優先順位の高い特性から始めると良いでしょう.その際,最大化したい特性であっても,最大化だけでなく最小化も実施します.ですから最適化という言葉は正確ではなくて,その特性に対するシステムの可能性を把握すると言ったほうが正確かもしれません.次のステップとして,優先順位に従って別の特性を最適化に加えていきます.優先順位が同位の特性がある場合は,すべての組み合わせで実施することが望ましいです.締めくくりのステップ3で,すべての特性を同時に最適化します. 
なぜ最初からステップ3を実施してはいけないかというと,JMPの満足度の最大化では,すべての応答空間を網羅して満足度を計算しているわけではないので,たまに局所最適解に陥ってしまう場合があり,そのような状況であることを見抜くためです.更には,最適解が見つからなかった場合,特に望目最適化であれば,目標値をほんの僅かずらすだけで準最適解とでも呼べるような解が見つかる可能性を探るためです.特にJMPの望目最適化はピンポイントでしか目標値が設定できないのでそのような状況になっている可能性は十分あります.
この状況では,本書にダウンロードバンドルしたMCDAアドインが大変有効です.JMP単独ではできない最適化ができるMCDAアドインについては本書では書ききれなかったのですが,文字だけでの説明では困難なので,SAS社のご厚意でゼミを開催する予定にしています.実施日等の詳細は未定ですが,MCDAアドインを使いこなしたいという方はぜひおいで下さい.
というわけで,JMPで最適化する際は,伝説の女性パイロットのエアハートのことを思い出してくださいね.
それでは,強引に落ちをつけたところでまた.

3/12追記
発音としてはエアハートだとしても日本語の用語としては「アメリア・イアハート効果」が正しいので本文を修正しました.
タグ:問題解決 JMP
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2018年03月10日

女性パイロットとパラメータ設計

以前からブログに書こうと思っていたことがあるのですが,いざ書き始めるといろいろと深く考え込んでしまうこと多々あるので,本日は全くの雑談に変更しました.といっても,何を書くかは決まっているわけではないので,昨日のニュースに目を通しながら思案を巡らせています.このブログは自分へのチャレンジとして続けていると言う側面もあるので,何か題材を探す必要があります.目に止まったのが次の記事です.
島で発見の人骨、女性飛行士イアハートの可能性高い 研究成果
太平洋離島で発見の人骨、A・イアハートのものか 米研究
なぜか日本ではイアハートと呼ばれるエアハートという有名なパイロットの失踪の謎が判明しそうだとのことです.パイロットといってもリンドバーグの時代の人で1928年に大西洋横断無着陸飛行に成功しました.日本での知名度はリンドバーグほどは高くないと思いますが,米国では誰もが知っている「あの伝説の」と冠がつくほどに人気が高い有名人物でした.
いまウィキペディアをみたところでは,やはり「エアハート」が言語の表記に近いとあります.日本語のカタカナを英語風に発音しても全く通じないと言う経験を何度もしている私ですが,余計なお世話といわれようと少なくとも人名と地名だけは原語の発音を真似した方が無難です.エアハートという文字であれば見ればわかりますけれど,イントネーションも重要です.2015年のSUMMITで来日されたWilliams CollegeのRichard D. De Veaux(デ・ヴォー)先生とお話しした際.大学がマサチューセッツ州にあるので,彼の地での実験的営みの日々の回想録として有名な『森の生活』 のことを話題にしようとしました.当時は原題を知らなかったので(今調べたら単純に”LIFE IN THE WOODS”でした.),「ソローが書いた本」と言ってもこれが伝わらないのです.本の内容を話し出すと,「あ,ソローね.」とようやくわかって頂けたのでした.このように書いてもよくわかりませんが,原語ではソローのローがあがるイントネーションで発音するということがポイントです.あまりにも日本語化してしまっているものは仕方ないですけれど,知っているならば日本でも嫌味にならない程度に(これが重要),原語発音に近い表記を心がけるべきと考えています.
とはいえ,英語化してしまった変な発音もあるので注意が必要です.例えば,J.S.BachのCDを買いにいって全く通じなかったことがあります.自分で見つけて店員に見せたら「ああ,バックのことね.」とか.ウルトラマンはアルトラマンだったり,ワコムのタブレットが通じなくて,それはワイコムと読むんだよと教えてもらったり?
話が逸れました.エアハートですが,日本の捕虜になって亡くなったという説があります.興味がある方は,例えば,こちらとかこちらをご覧ください.旧日本軍がアメリカの英雄しかも女性を捕虜にして殺したとかの説は彼女の人気にあやかろうとした志の低いメディアのなせるものとはいえ,証拠がないのでいつまでも亡霊のように付き纏ってくるのです.イエスの墓は青森県にあるとか,源義経がモンゴルに渡ってチンギス・ハーンになったとかの類と一緒です.
あまり知られていないと思いますが,マーケティングでは「アメリア・イアハート効果」と言われている言葉があります.その分野で一番になれなくても,見方をかえれば一番なので,それをマーケティングに使うということです.楽天などでも,とても細かいカテゴリー内でランキング1位とうたっていて何か意味があるのかと思っていましたが,あれが「アメリア・イアハート効果」を使った手法なのですしょうか.
確かにエアハートはリンドバーグに最初の大西洋横断で先を越されたとはいえ,女性としては世界初であったために今の世に名を残しているともいえます.一番になるには層別化を進めていけばよいということですが,果たしてそうなのでしょうか.エアハートは,”Never do things others can do and will do if there are things others cannot do or will not do.”と言う言葉も残しています.最初から一番になることを目指していたのではなく,誰もできないこと,やらないことをやっていたら一番になっていた,ということなのです.ですから,「アメリア・イアハート効果」のマーケティング分野での使われ方は,彼女に対する誤解を招くもののように感じます.彼女の人生においては一番になることが目的だったのではなくて,単なる結果に過ぎなかったのでしょう.エアハートが今の世に名を残しているのは,39歳の若さでそれこそ大空に散った伝説のヒロインということに加え,女性の地位向上に尽くした貢献によるところが大きいのです.
日常的に万年筆を使っているものとして,常々万年筆にも興味を持っているのですが,限定品の高級万年筆を専業とすることで有名なKrone(クローネ)にもエアハートの名を冠した美しい万年筆があります.クローネの万年筆はとにかく高価で,例えばアルベルト・アインシュタイン万年筆などは,アインシュタイン直筆の原稿を裁断した紙片が埋め込まれているとかで値段は,ebayで今みたら$7425もしています.
アインシュタインといえば,去年日本滞在中のメモがオークションで1億円を超える価格で落札されたというニュースがありました.
直筆メモは2枚あって,そのうちの一枚には英語に訳すと“a quiet and modest life brings more joy than a pursuit of success bound with constant unrest.”と書かれています.日本語では「静かで謙虚な人生は成功を追い求めて常に不安に脅かされるよりも幸せである.」というような意味でしょうか.この格言がアインシュタインのオリジナルであるか否かは不明ですが,一番を目指すことは必ずしも幸福には繋がらないということを教えてくれています.
エアハートとアインシュタインの言葉を(無理やり)統合すると,人がやらない(やれない,やりたがらない)ことをやれば,その結果一番になれるかもしれないし,一番になれなくてもそれもまた幸福なものだ.というようなことでしょうか.
さて,ここで落ちをつけなければなりません.エアハート,アインシュタインときて,以下でそれらを強引にタイトルにあるパラメータ設計に結びつけようと思いますが,本日はこれから外出しなければならないので,続きはまた明日とさせてください.
それではまた明日.
タグ:問題解決
posted by Tad at 13:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記

2018年03月03日

p82の列の寄与について

p82に示した,エクセルでやるようなクロス集計法との比較はオフトピックで,原稿段階でもこの部分は削除対象だったということもあってこの部分の手順説明は省略しています.p82一番上のグラフの描き方については少し前にお話していますが,今度はその下にある「列の寄与」のグラフが描けないとの質問をいただきました.統子ちゃんのセリフ「この結果を「パーティション」による「赤三角>列の寄与」と比較すればいいのね.」,その次のJMPくんのセリフ「これは装置#を除外してk分割交差検証によって自動分割した結果だよ.」をそのまま実行してもp82のグラフは得られません.ヒントは除外されている行の扱いです.以下に書くことはJMP経験者であればご存知だと思うのですが,本書をもとに新たにJMPを勉強してくださっている方もいるようなのでこの場でもう少し丁寧に説明します.詳細なJMPの操作を示すことまでは本書の守備範囲と考えていませんが,このブログでは可能な限りJMP操作もサポートしていこうと思っています.
さて,以下に手順を示します.まず,データは同じ「5_概観結果.jmp」を用意してください.ファイルを開いたら,すべての非表示かつ除外になっている行が選択されていることを確認して,もしも選択が解除されているならば,「装置No.」列と1行目を選択してから,右クリックで「一致するセルを選択」を実行します.これですべての非表示かつ除外になっている行(装置No.が#4)が選択されるので,この状態で「行>行の削除」です.(ここがポイント)
ここで「パーティション」を実行するわけですが,このとき装置#を「X」に入れないでください.パーティション プラットフォームが出てきたら,赤三角から「k分割交差検証」を実行するとkの値を入力するように聞いてきますので,デフォルトの5のままにして『OK』です.この操作で『分岐』『剪定』の隣に『実行』ボタンが出てきますので,それを押せばp82のグラフが描けます.
因みに,このデータでは「k分割交差検証」を実行しなくても最初から『実行』ボタンが出ています.それはなぜかという理由は,なぜ非表示かつ除外のままではいけないかという理由と同じなのです.JMPではモデリングの際のオーバーフィッティング対策として検証という機能が実装されています.データを学習セットと検証セットとに分けて,前者でモデルを作成し,後者でそのモデルを評価します.検証セットの指定方法にはいくつかあって,JMP Proでは検証列を指定することも可能ですが,JMP Stdで最も簡単なのが「k分割交差検証」を使うことです.デフォルトのk=5であれば,データを5分割してそのうちの一つが検証セットに割り当てられます.(kの選び方は観測データの性質によって選ばれるべきですが,今のデータサイズであればデフォルトのままでよいでしょう.)k個のデータセットそれぞれを検証セットとしたすべての結果が比較され,最終的にこれらの中で最もR二乗の大きいモデルが採用されます.ここで問題となるのは,「除外」された行があるとこれらが(頼みもしないのに)検証セットとして扱われてしまうという仕様があるのです.このためデータに除外された行があると本それは異常値としてモデル作成には使いたくないデータですから,「k分割交差検証」を実施してもおかしな結果になってしまうのです.このため,実質的に「k分割交差検証」をかけるデータでは一部を除外するという機能が使えないのでとても不便です.
厳密には装置#4以外にも除外されているデータが二つあるわけですが,この二つは削除しなくても「k分割交差検証」の結果には大きな違いはありません.すべての除外された行を削除して「k分割交差検証」を実施した結果を示しておきます.(p82の結果とは微妙に違います.)
列の寄与.png

今週は別のお話をしようと思っていたのですが,それはまた来週ということで.それではまた.
タグ:Q&A JMP
posted by Tad at 13:53| Comment(0) | TrackBack(0) | Q&A