2017年12月02日

イノベーションと実験計画

 Analytically Speakingというのをご存知でしょうか.JMPの米国HPのLearn JMPのタブの右下にあるOn-Demand Webcastsから一連のビデオが視聴できますが,Analytically Speakingのコーナーは一番上にあります.ときどき除いているのですが,最近のビデオがよかったので紹介します.本日時点では二番目に新しいビデオでHow Do You Build a Great Analytic Culture?というタイトルです.
このビデオはUser Communityのブログでも紹介されていました.(因みにUser Communityへ行くには,JMPのヘルプメニューから>JMP User Communityを選択します.ブラウザに表示されるページの上に並ぶナビゲーションタブの一番右のJMP Blogsをクリックします.)ビデオの内容は分析文化を醸造するにはいかにすべきかという問いに関してJMPセールスの親分ジョン・ワイズ(Jon Weisz)とField Enablementという(日本で言うアプリケーションエンジニアのようなものでしょうか)部門の重鎮ルー・バレンテさんへのインタビューです.

ジョン・ワイズさんとは毎年サミットでお会いしていますが,今回のサミットでもお話ししました.彼も私と同じMacユーザーなので(賛否両論ある)MacBook Proのタッチバーはあったほうがよいという意見や,JMPはやはりMac版の方が見た目が綺麗だという点でも一致して盛り上がったりしました.そういえば今回のジョン・ソールさんの講演ではMacを使われていましたね.最初にお会いしたときはWINDOWSを使われていたし,去年の講演でもWINDOWSを使われていたのでジョンのマッキントッシュプログラムと言うのは昔のことかとがっかりしていました.なんでも去年の講演ではビッグデータを使うのにハードの搭載メモリ上限があるMacBookではなくWINDOWSのノートPCを使う必要があったそうです.今回のゴーストデータではその制約もないのでご自分のMacを使われたのでしょう.
 もう一人のルー・バレンテさんは絵にかいたような好漢です.数年来の顔見知りなので今回日本にいらっしゃらなかったのが残念ですが,ビデオではお元気そうですね.コダックで実務として長い実験計画の経歴をお持ちで,DSDは彼に最初に紹介してもらったことを覚えています.そのときの私の質問「DSDのデータから統計モデルを作っちゃダメなの?」にはっきりしかも力強く「NO!」と答えてくれたことを昨日のように思い出します.そのあと,そうはいってもね...という議論が続くのですが,ここらへんのことは本書に書いてあるとおりです.ビデオではルーさんが初期のDSDの事例を紹介してくれていますが,その際にDiscovery Paper Searchというアドインで過去のDiscovery Summitでの発表を検索しています.私は幾つかの理由から発表の資料を公開していませんが,これを見て気が変わりました.いずれ英語にして検索に引っかかるくらいのものを作成して登録してもらうようにします.それにしてもいろいろなアドインが入ってますね.それと彼もMacユーザーだということは初めて知りました.

40分を超えるビデオですが見る価値はあります.後半のコダックのOLEDの実験計画の事例などは実験計画をうまくやれば(おそらく幾度かの失敗を乗り越えて)大きな成功をもたらすことができるという証明です.このビデオでまさに私が同感するのは,JMPブログでもリファーされているジョン・ワイズさんの言葉です.
“There has to be the freedom to innovate and try, otherwise you literally cannot do experimentation if you can’t innovate and try because that’s what in essence DOE is – a lot of innovations and trials within the experiment.”
イノベーションを起こしそれに挑戦するにはそこに自由がなければならないんだ.もしそれらが自由にできないのなら文字通り実験はできないということだよ.だって,それがDOEの神髄だからね.多くのイノベーションやそれへ挑戦することは実験の中にあるんだ.
 
「統計的問題解決入門」では,イノベーションを目指すにはDOEに基づいたパラメータ設計が必須であるということをいささか回りくどく書いています.控えめに実験計画の意義を主張して,読者自らがそれに気づいてもらうような意図があるのですが,このため本書の第3講はやや抽象的であるというもっともなご意見もいただいています.このことをジョン・ワイズさんはアメリカ人らしく直球で言ってくれました.ちゃんと挑戦は失敗の裏返しと言うことも言われています.メッセージとしてはこのほうがよく伝わると感じました.私もこれからはイノベーションを目指すならDOEしなければ駄目だとストレートに表現します.

この後ビッグデータについても書こうと思ったのですが長くなるので今日はここらへんで.
それではまた.
タグ:統計学 JMP
posted by Tad at 15:02| Comment(0) | TrackBack(0) | JMP