2017年05月28日

あらためてJMPについて

JMP[1](ジャンプと読みます)はSAS Institute Inc. が1989年にリリースした統計解析のためのソフトウェアです.SAS社はビジネスアナリティクスの分野で広く使われているSASという社名と同じ名のソフトウェアを開発しています.SASはアポロ計画で使われたことで有名になったように,当時は汎用コンピュータで動くようなソフトであり,一連のEIP(エンタープライズ・インテリジェンス・プラットフォーム)として構築されるSASシステムとも呼ばれる大掛かりなものです.これに対し,JMPは誰もが手軽にデータを統計解析できることを目的として開発されました.対話的・直感的な操作によってデータから統計的発見を得るというコンセプトのもと,数多ある統計ソフトの中でも統計を意識せずに手軽に統計解析を実施できることに特徴があります.本来業務に忙しくて,統計の勉強や統計ソフトの習得に割く時間がなかなか作れないような人に向いている統計ソフトがJMPなのです.
本書はマニュアル的なJMPの入門書ではありませんが,最低限のJMPを使ったデータ分析の操作手順を解説してはいます.特にJMPを駆使した問題解決の手引きとなることを意識しています.本書にも書いたことですが,ソフト操作の手順だけを習得しても実際の問題解決には役に立ちません.それはなぜかというと,マニュアルがそのままの形で使える状況は現場では滅多に遭遇せず,マニュアルを覚えているだけでは手も足も出ないからです.問題解決にはソフトの操作手順を取得することよりも,既知の手順を組み合わせて対処できる応用力がより重要なのです.本質の理解を伴わずに答えが得られればそれで良いという学習法が流行っている昨今ですが,この応用力をサポートするには,手順の背後にある考え方を身につけておくことが必要になります.本書ではJMPの機能をどんなときにどう使うのかという背後にある考え方を解説しましたつもりです.

[1] 正式名称はJMPレジスタードマーク 13 (SAS Institute Inc., Cary, NC, USA)